どうして学校に行くの?-子ども哲学開催報告


 

アルコイリスを拠点に、毎月定例で開催されている「子どものための哲学対話」

 

毎回異なるテーマについて、子どもたちと一緒に1つの輪になって考えあう時間をつくっています

 

子どもたちの語りには、

・子どもたちがこの世界をどんなふうに見ているのか

・子どもたちが、日々の暮らしの中で、どんな経験しているのか

・大人や社会が、子どもたちにどんなメッセージを伝えているのか

 

このあたりが露(あらわ)になって、いつでもおもしろさを感じるとともに

1人の大人として考えこまされてしまうこともたくさんあります 

 

子どもと一緒に、この世界についてお話をする場、と言えるかもしれません

 

さて、今回のテーマは「どうして学校に行くの?」

多くの子どもたちがオンライン授業を経験しているので、学校にいくことと、自宅で学習することと、

比較して考えられるかも?と思ってこのテーマにしてみました 

小学生1年~5年まで、11名の子どもたちと話し合った記録です

 

※文中のFはファシリテーター、Pは参加者 をさします

 



ー どうして、学校に行くのだろう?

 

F:今日のテーマは「どうして学校にいくの?」ですが。学校に行きたい理由、行きたくない理由、教えてください

P:学校が遠くて歩いていくのがつらい。つかれちゃうから行きたくない。

P:勉強のために行く 理科とか社会とか。

P:行く理由は、ずっと学校に行ってないと友達とのコミュニケーションがとれないしつまらないから。

あと遊ぶ約束とかもできないし…

 

F:学校って、なんのためにあるのかな?

P:友達と集まって、勉強するためにあるところ

 

F:学校は、好き? それとも嫌い?

P:嫌い。友達とケンカしたりする

P:あんまり好きじゃない。ゲームとか持ちこめないし、やっちゃいけないことが多いから

P:もっと自由にさせてほしいって思う。好きな時間に自分の興味があったり、好きな勉強をしたいって思うのだけれど

学校が勝手に決めた授業を押し付けられるから

P:算数などの勉強は将来に役に立つから、好きとか嫌いとかじゃなくて必要なところだと思う

 

F:勉強の話が出けれど…好きな教科や嫌いな教科はあるの?

P:図工。絵が好きで、自分の気持ちを表現できるから。

P:算数。将来役にたつから。

P:家庭科。料理をしたり食べるのが楽しい。

P:テスト。簡単だから。

P:学活。地域のこと調べたり、タブレット使えたりする

 

F:好き・嫌いな教科たくさんでましたね。ところで役にたつって言葉があったけれど…将来役にたつ教科ってあるのかな?

理由も一緒に教えて?

P:家庭科で学ぶ裁縫とか料理とか、将来一人暮らしするときに役たつと思う

P:算数。買い物するときに計算できる

P:学活で地域のことを調べるのは、将来和光市役所で働くときに地域のことを知っていたり、お金をどう使うかとかに役に立つと思う

P:図工。言葉が違う外国の人とも、絵でコミュニケーションがとれるから。

P:外国語。役に立つ…と思うのだけど、あんまり好きじゃない。

 

F:じゃあ、逆に、これは必要ないんじゃないかな?って思う教科は?

P:宿題の量がはんぱなく出てくる。家でもそんなにたくさんやる意味あるのかなって思う

P:テスト。すぐできちゃってヒマ。

P:テストで、以前にやったことを、もう一回やるのが嫌。

P:テストをやる理由は、子どもをエリートにするために、先生たちがきっちり教えたことを理解しているか知るためにやっているのだと思うのだけれど…。そんなに成績よくする必要あるのかなって疑問。

P:テストは必要だと思う。自分ができてないところを知れるから。

 



ー オンライン授業ってどうだった??

 

F:授業、テスト、成績…いろいろお話がでましたが、それらをやるところが学校ってことでよい?

P:学校って、学ぶって字がついてるから、成績とかテストとかがあって学べるので、そういうところが学校でよいと思う

P:でも、学校に行かなくても学ぶことはできると思う。ゲームとか遊びの中でもはじめて知ることがあったり計算が必要なときもあるから。

 

F:学校に行かなくても…って話が出たけれど、オンラインの授業ってみんな受けたのかな? あれはどうだったの?

 

P:微妙…。友達と会えなかったから

P:登下校しなくていいから楽だった

P:授業が簡単なときは、カメラ・オフにしてベットでマンガ読んでた

P:やりにくかった。勉強してるように見えるけれど、ゲームしてる人とかもいたし

P:授業がつまんないときもカメラ・オフにしてた

P:家にいれるからめっちゃ楽だった。好きなことできるし、好きな時にトイレいけるし、お菓子も食べられる

 

F:学ぶってことが目的にあるのなら…オンライン授業だけだとダメなの?

P:それはいいけど、やっぱり微妙。

P:家で自分だけだとダラけちゃうから。

P:友達と会ったり、話したり。一緒に行事に参加したりとか、そういうのができなくなるからつまらないと思う

 


ー こんな学校だったら!!

 

F:学校に行って、成長したなって思うことはあるの?

P:歌がうまくなるとか、できないことができるようになったとき

P:自分ひとりだとやらないことでも友達と一緒だとできたりする

 

F:学校に行く/行かないが自分で選べるとしたら、学校って行く?

P:楽しくはないけれど、必要だから行く…かな。

P:ヒマつぶし

P:一人でずっと家にいるのも人生楽しくないかなって

 

F:もし、学校に行きたくないって友達がいたらなんて言葉をかける?

P:行きたくなったら行けばいいんじゃない?

P:無理しなくていいからね

P:親は行けって言うだろうけれど、抵抗しよう!って

P:家で勉強できればそれでいいんじゃんって

 

F:もし自分で自宅で勉強できるなら、先生って必要なの?

P:必要。答えを教えてくれるから。あと答えにたどりつくまでの方法とか

P:自分でタブレットとかで学べるから、コンピューターが先生になってくれるから、人の先生は必要ないかもしれない

P:必要な先生と、そうじゃない先生がいると思う

P:私は勉強が苦手で…。わからないところを、わかるまで教えてくれるから…先生は必要

P:ロボットでもいいかもしれない…。でもロボットが生まれるまでにお金と時間がかかると思う

 

F:みんなが、こんな学校だったら行きたいなって思う学校は?

P:自由で遊べる学校

P:いろいろ自分たちで決められる学校。給食とかもメニューを決めて自分たちでつくったりできる

P:ゲームとかおもちゃを持って行ってよい学校

P:蛇口からジュースが出る(笑)

P:遊園地が校庭にある学校

P:パパやママも一緒にいける学校

P:キッザニアやゲームセンターがついてるところ。将来の仕事について考えたり、学んだりできる

  

F:はい、時間になったので今日の話し合いは終わりです。ありがとうございました

 

 

 


 

※この記録は、当日の対話録を頼りに書いています

実際に話された内容と大きく異なってはいないものの

微細な表現や言い回し、また語りのすべてを表現できたわけではありません

おそらく交わされた言葉は文章に表現できた数倍の量だと思います

あしからず

 

文責:川上(アルコイリス)

 



記録・ファシリテーター

◆川上和宏◆

1984年、群馬県生まれ / 大人の秘密基地arcoiris 共同店主

杉並区社会教育センターにて社会教育・生涯学習の企画運営に携わったあと、

2013年にアルコイリスを起業・運営

千葉大学大学院教育学研究科卒、東京学芸大学博士課程満期取得退学

大人向けの哲学対話の場、哲学カフェ@アルコイリス・主宰

その他、この世界について他者と対等に語り合うための場づくりをお店にて実践中