友だちって、だれのこと?


 Movie for Philosophy                    

【導入動画のあらすじ】

ある日、ゆっぴー(中学生)が家に帰ると、母親から友人関係についてのアンケートに答えるように言われます

友だちは20人くらい、親友は1人と答えると、友だちと親友って違うの?と問われます…

他人、知り合い、友だち、親友…人との関係によって呼ぶ名前が異なりますが、友だちってどんな人のことなの?

みなさんは、どう考えますか?



ー哲学対話の記録

F=ファシリテーター(指導者)
C=子どもたち それぞれの発言を指します。

F:友だちってどこから友だち?
C:幼稚園のころから友だち。
C:一緒に遊んだり、名前よんだら友だち

F:親友と友だちの違いは?
C:友だちは一緒に遊ぶ、親友はなんだろ…好きな時に遊べる。
C:悩み事とか話す。
C:友だちよりも親友の方が「友だちさ」が深い。
C:親友は悩み事を言えたり、そこをちゃんと思ってくれるけど、友だちに悩み事を話すと、違う友だちに言っちゃいそう。親友は、約束は守れる。友だちは約束はそんなに守れない。守れるときもあるけど。

F:友だちになろうっていって友だちになった人いる?
C:いるよ。
C:ぼくは、名前を聞いて友だちになるよ。

F:「私たち友だちだよね?」って確認する?
C:そういうのはない。
C:いつも間にか友だちになってるよ。
C:たまたま会って、遊んだりして楽しかったら、もう友だち。
C:同じゲームを知ってて、話題になったら友だち。
C:友だちになりたいと思ってなくても、同じクラスとかで一緒にいると仲良くなっていつのまにか友だちにななってる。

F:クラスの全員は友だち?
C:はい!
C:違う!クラスが一緒でも、遊ぶ人とあんまり遊ばない人もいるから。あんまり遊ばない人は友だちとはいわない。それは「ただのクラスの人」

F:友だちは何人くらいるの?
C:何人か数えたことがないから、わからない。
C:幼稚園とか、昔も合わせれば結構いるよ。
C:ほぼ、50人くらいかな。
C:50人もいるかどうか分からない。

F:50人と遊んでるの?
C:遊ぶときもあるし、遊ばないときもある。
C:全員と毎日遊ぶわけではないからね。
C:毎日、数人ずつみたいな感じで遊んでいく。
C:この子と遊びたいなーってときに、その子と遊んでる。

F:よく遊ぶ人とよく遊ばない友だちって何が違うの?
C:なんだろ…。よく遊ばない友だちはそんなに会ってもないし、クラスも違ってあんまり会わない。あとは、やることが違ってる。いっぱい遊んでる子はやることが同じだし、同じくクラスとかかな。

F:友だちと仲のよい友だちは違うの?
C:仲のいい友だちは、親友と友だちの間。
C:仲のいい友だちは話があうし。
C:仲のいい友だちなのか、親友なのか、友だちなのかはっきりしないこともある。ただの友だちなのかなって思ったり、仲のいい友だちかなって思ったりすることもある。

F:友だち、仲のいい友だちって誰がきめるの?
C:自分。自分と相手の仲のよさみたいので、自分が決める。
C:自分は仲のいい友達と思ってるけど、相手は友だちって思ってることもある。
C:相手の人が自分のことを親友だと思ってなくても、自分が親友だと思ってるなら、それでいいと思う。
C:お互い親友だと思ってるけど、たまに親友か友だちか分からなくなるときもある。
C:お母さん同士が仲が良かったりすると、子どもたちもすごく仲がよくなる。そうなると親友。

F:親友になるのは、確認をとらなくていい?
C:うん。別に自分が親友だと思えばいい。
C:確認したことがないから分からないけど、確認しなければ自分が傷つかない。
C:相手に親友だよねって聞かなくてもいいと思う。自分が親友だと思っていれば、相手が友だち、仲のいい友達と思っててもいい。
C:相手が傷つくことを言わなければいい。
C:「友だちだよね」って言われると、なんでそんな風に思ってるんだろうってなっちゃうこともあるから、聞かない方がいいと思う。
C:相手にもよるかな。気が合う人や話が合う人には聞ける。
C:声で言わなくても、一緒に遊んだり、手紙に「親友だよ」って書いてあるからわかる。

F:親友がいる人は、どうやって、いつから親友になったの?
C:話しながら友だちで、だんだん上手に話せるようになっていくと親友。
C:会った時から親友。
C:幼稚園のころにあって話たりして、小学校になって親友になった。
C:会って遊んで、また会ってってなって。会う機会が増えて、友だち、仲のいい友達、親友って、ちょっとずつ親友になる。
C:成長するみたいに、時間がたってから親友になる。

F:親友ってレベルが上がるの?大きくなったり、進化していくの?
。 C:だんだん親友になる。大きくはならないけど、気持ちが深まる。
C:最初は友だちだとそんなに気が合わないけど、親友がふかまっていくと、どんどん気が合っていく感じがする。
C;仲のいい友達はときどきケンカする。ケンカしないほうが気持ちはいいけど、ケンカしていったほうが親友になれる気がする。
C:ケンカして相手が傷ついたりして許してくれない人もいるから、ケンカしたからって親友になれるかは人による。
C:親友とはケンカするけど、すぐに仲直りする。普通の友だちとケンカしたら、時間かかってから仲直りする感じ。
C:ケンカしたからって親友になるんじゃなくて、よく一緒に遊ぶ子が親友だと思う。

F:親友でもよく遊ばない子っている?
C:クラスでもやること違うこともある。ライバルとしての親友。
C:一緒に遊びたいけど、学校が違ったら遊べない。
C:たまたま遊んだ時が同学年だったり家が近かったりしても、学校が違ったり、クラスが違ったり、地域が違うと、あんまり遊ばなくなって親友度がさがっちゃう。
C:親友だけど、学校が違うと遊びたくても遊べない。
C:親友でも、性格が違うから、他の遊びをしててもしょうがないかなって思う。
C:あんまり一緒に遊ばないと、気が合わなくてケンカになっちゃったりしちゃうから、私はこれ、相手はこれって形で遊べばケンカにならないで遊べる。性格が違くても親友だと思う。

F:親友だと思っている子が、他の人とずっと遊んでいて、自分とは遊んでくれなくなったら親友じゃなくなる??
  C:親友度がどんどん下がっていく。
C:親友ではあるけど、そんなに遊ばないから、親友なのかな?って自分で思っちゃう。
C:普通の友だちになっちゃう。

F:親友って何をしてくれる人なの?
C:悩み事が話せて、ライバルにもなる。
C:自分が知ってることを、他の人は知らないけど親友の子は知ってるから、その子にだけ話したり、話す機会がを作ってくれたりする。
C:親友は気が合う。
C:助け合いする。
C:親友は自然と遊んでるかもしれない。

F:友だちは悩みごとを相談したり、自分の知らないことも知ってる日度じゃないの?
C:違う。
C:友だちだと、言わないでっていったことを言っちゃっうこともあるけど、親友だとなんでも話せるし、言わないでってことは絶対に言わない。
C:約束守ったら親友。
C:約束を守るだけじゃ親友にならない。約束を破っても親友ってこともある。
C:親友もたまにふざけてみんなに言っちゃうこともあるけど、友だちよりは少ないから親友のほうがいいやすい。
C:親友は友だちより少ない。

F:親友って何人いる?
<親友は2~3人の人が多く、5人以上はいない>

F:仲いい友だちと友だちで思い浮かぶ人は違う?
C:仲いい友だちは、仲はいいけど、ケンカしちゃうことがある。
C:仲がいい友だちは、親友と同じ。
C:親友と仲のいい友だちだと、何かがちょっと足りない。
C:親友は気があったり、話があったりする。仲のいい友達は、話があわないときもある。
C:親友は何から何まであうけど、仲のいい友だちはあったりあわなかったりする。
C:親友だからって全部あうわけじゃないけど、全部があうってわけではない。

F:仲のいい友だちと友だちは何がちがうの?
C:友だちは話があうけど、ケンカしたり…。仲のいい友達はやさしいし、守ってくれたりする。友だちだと、怖くても守ってくれなかったり、友だちになってあげるけどその代わりに…みたいなのがある。
C:友だちはいっぱいケンカするけど、仲がいい友だちはあまりケンカしないっていうか、話をたくさんする。友だちになる前は、ケンカしてちょっとずつ仲がよくなる、

F:「親友」、「仲のいい友だち」、「友だち」以外はどんな名前の関係なの?
C:ただのクラスの人。
C:知らない人。
C:知らない人、近所の人とか含めて知り合い、クラスの人があって、そこから友だち、仲のいい友達、親友がある。
C:転校生が来て、3日くらいですぐに仲のいい友だちになることもあって、時間がかからないこともある。
C:子どもで仲がいい人を友だちっていうけど、子どもが大人と仲がいいときってなんていうの?
C:子どもと大人が友だちになるって、なんか変な感じがする。
C:子どもと大人は友だちになれるけど、なれる人となれない人もある。
C:子どもと大人はちょっと違うからちょっと変な感じがある。お母さんとかお父さんだったら普通に話せるけど、友だちの大人だと話はできるけど、ちょっと難しい。

F:学校の先生を友だちだと思っている人!
<2人手が上がる>
C:学校の先生は、教えてくれる人だから友だちとは思えない。

F:自分の親は?
C:親は友だち!友だちですよ、友だち。
C:いや、親は絶対友だちじゃない。親友でもない。
C:友だちでもあると思う。
C:友だちは他の家族の一員。同じ家族は友だちとは言わないで、家族っていう。友だちと家族は違う。
C:学校にいる子どもとかは友だちとか親友だけど、お母さんはママとかいうから友だちじゃなくて、ご飯とか作ってくれる存在。
C:親は親友より上っていうか、別って感じ。
C:親は友だちとかと離れている感じ。親友より仲がいいって感じ。
C:お母さんのことを○○ちゃんとか呼ばない。
C:お母さんはご飯つくってくれたり、洗濯してくれたり、仕事してくれたりするから、と友だちとは違う存在。
C:お母さんや先生は、仲のいい友達とかとは別で、私たちより上の人たちだし、小学校にいる人たちは友だちっていえるけど、大人だと親友だといえない。
C:友だちは、最初は他人でしょう?でもママは産んでくれて最初から他人じゃないから友だちじゃない。友だちは知らない人から気が合いながら友だちになる。

F:みんなお母さんのこと言ってたけど、じゃあ、お父さんは?
C:お父さんはわかんない。
C:お父さんもお母さんも親だから、お母さんのことを言ったけど、お父さんも含まれているの。セットなの。
C:親に含まれている!

F:人間以外に友だちはいますか?
C:え!全然いる!
C:自分の家で飼ってる犬は家族で、おばあちゃんちで飼ってる犬は友だちみたいな感じ。犬にとっては遊んでくれる人って感じ。
C:いとこの家で飼ってる猫。
C:自分の家で飼ってる犬は、家族だけど友だちでもある。
C:人形。お母さんにもらった人形。大好きな人形はいっぱいいるよ。
C:人間でも友だちでも、自分の家にいるのは家族だけど、自分の家以外にいる人間や動物は友だちって言える。
C:家にいるのは家族でもあり、友だちでもある。

F家にいるけど、友だちっている?
C:いるよ、人形。
C:そんなにいない。
C:人形とか本っていう人もいるけど、それは物だから友だちとは言わないと思う。
C:しゃべる人形もいる。それは友だち。真似したりできるから。
C:ポケモンの人形。しゃべらないけど、友だち。
C:しゃべる人形あるけど、それは命じゃなくてロボット。人間とか動物とかは、動いたり、ないたり、しゃべったりして命があるから、それが友だち。

F:ロボットとは友だちになれない?ドラえもんとは友だちにはなれない?
C:ロボットでも、すごく仲がいいと友だちっていえるかもしれないけど、動物は心があるから友だちになれる。人形やロボットは友だちとは思えない。
C:僕の人形は心臓の音も聞こえるよ。
C:ロボットでも話し相手になって長年一緒にいたら、だいたい友だちになれるんじゃないかな。

F:なんで、人形とかを友だち思うの?
C:人形は心とかはないけど、自分が大切にしてたり、誰かからもらったりして大事にしてるから友だち。


※これは小学1年生~6年生までの子どもたち20名が、1つの輪になって話し合った記録です。

 

 


ー対話を深める問いかけの言葉

 

 ・友だちについてそれぞれの意見が出ていたね。どんな意見が出てた?

 ・その意見の中で自分の考えに近いものはある? 理由は?

 ・友だちってどこから友だち?

 ・友だちになろうっていって友だちになった人いる?

 ・「私たち友だちだよね?」って確認する?

 ・クラスの全員は友だち?

 ・親友と友だちの違いは?

 ・友だち、親友って誰がきめるの?

 ・親友がいる人は、どうやって、いつから親友になったの?

 ・親友がふつうの友だちになるときってある?

 ・先生や家族は友だちになれる?

 ・親友って何をしてくれる人なの?

 

 


ー 対話をおえて(ふりかえり)

 

今回のテーマは、「友だち」とはだれか、を考え話しあったものです

 

私たちの取り組みでは、友だち、親友、友だち以外の知り合い、そして家族などとの違いを具体的に考えながら、友だちという、それぞれが考える定義に誰が入るのか、その人物と自分との間でどのようなやりとりや関係を築いているのか、話し合われました


面白いもので、友だちは数十人いるし、どんなきっかけで仲良くなったのか思い出せないほど、自然となっているようです。ただ、親友となると話は別。年中遊んでいるといった頻度の高い会い方をしている相手であったり、自分の悩みを相談できる相手であったり、裏切らない相手といった意見が出ました

 

そこには、知り合い⇒友だち⇒親友⇒家族といったような、意識的・無意識的な序列づけもなされているように思います

これは各自が友だちという定義をどのように考えているのか、を結果的に問うものとなるので、その関係でのやりとり、別の言葉で示される相手(親友や家族など)との関係の取り方や行為の内実を具体的に掘り起こし、比較していくような問いかけをしていくと、だんだんとテーマに迫った話し合いになっていくと思います

 


記録・ファシリテーター

◆川上和宏◆

1984年、群馬県生まれ / 大人の秘密基地arcoiris 共同店主

杉並区社会教育センターにて社会教育・生涯学習の企画運営に携わったあと、

2013年にアルコイリスを起業・運営

千葉大学大学院教育学研究科卒、東京学芸大学博士課程満期取得退学

大人向けの哲学対話の場、哲学カフェ@アルコイリス・主宰

その他、この世界について他者と対等に語り合うための場づくりをお店にて実践中